赤城黑檜山・・・(2)

 東側を隠している雲は台風23号の影響のようです。
足尾連山から先はスッポリと雲に覆われ、筑波山や楽しみにして
いたスカイツリーもお預けです。取り敢えず昼食にする事になり、
ツツジに囲まれた窪地にシートを広げました。

 山頂の表示柱の裏側に温度計が付いていて18度の気温を表
示していましたが、日向でも暑くなく快適な環境です。お陰で昼食
が捗ります。ガスコンロを持ち込みラーメンか何かを作っている人
を見掛けましたが、やはり山はオニギリが一番のようです。

 食事の後は双眼鏡を取り出し、改めて景色を確認しました。倍
率は8倍ですが、コンパクトで手振れしないため良く見えます。
日光白根山は頂上直下の露出した岩肌と、特徴的なギザギザし
た山頂部がハッキリと見えました。

 西に転ずると、千百メートル台の妙義山は里山に溶け込み、榛
名山や子持山等も遥かに足下です。「山は高さではない」と思っ
ていますが、高度による序列が出来てしまうのも事実です。
周囲の景色に見とれて、気が付くと1時間近く経っていました。

 下山ルートは大ダルミから駒ヶ岳を経由する周回ルートを降り
る事にしました。山頂分岐を過ぎて少し進むと黒檜大神神社の祠
が見えて来ました。南側に開けた景観は、地蔵岳・長七郎山と連
なる横に緑色に光る小沼を見せて注目を引きます。

 そこから先は雲海状に広がる雲が関東平野を隠し、まるで海の
ようです。更にその先に目をやると・・台形状の影・・富士山です!
正に雲の上に頭を出していました。その時突然背後から『きゃあ
ー!ヤバい!ヤバいヨ~・・』と黄色い声が聞こえて来ました。

 振り返るとスマホを握りしめた可愛い山ガールが二人、富士山
を見付けて叫んでいるのです。彼女らにすれば感動のあまりの
感嘆詞なのでしょうが、オジサンとすれば『ヤバいはそんな使い
方をする言葉じゃない!』と突っ込みを入れたくなりました。

 見晴らしは良いもののかなり足場の悪い急坂を、1時間ほど掛
けて標高差で2百メートル近くを下ると、大ダルミの鞍部に着きま
した。振り返ると今下って来た黒檜山の斜面が目の前に広がり、
かなり下まで紅葉が降りて来ているのが分かります。

 山行の醍醐味の一つに、登って来た道や下って来た跡を振り
返る時に味わう感動がありますが、今が正にその時です。
登山道の脇に立て看板があり、何やら説明が書かれているのを
読むために近づくと、突然音声が聞こえて来ました。

 『何か言ってる・・』と妻が言うのは、展示会場などにあるパネル
の説明用の自動音声と思ったのでしょうが、何か変です。
すると木陰から携帯ラジオを鳴らした登山者が現れ、思わず笑っ
てしまいました。登山道にそんな設備が有る訳が有りません。

 それにしても、誰も居ない深山での熊除けならいざ知らず、ラジ
オを鳴らしながらの登山は如何なものかと思います。
以前も国会中継を流しながら登る者が居て、無理やりA首相の声
を聞かされてしまった事がありました。

 駒ヶ岳(1685m)は黑檜山の前衛のようなピークですが、南か
ら東にかけての眺望が開け、特に東側の黒保根地区の樹林帯
は始まりかけた紅葉が西日に映え、何とも言えぬ美しさです。
景色に魅かれ、20分ほどの長めの休憩をとりました。

 最後は鉄梯子まで繰り出した急傾斜の樹林帯の道を一気に下
ります。見る見る内に高度が下がります。足元の悪さはは最後ま
で続きました。やがて木の間隠れに大沼の水面が見え始め、車
の音も聞こえて来ました。湖畔の道はもう直ぐのようです・・・。
      konakry




画像
            < 錦秋の黒檜山 >

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